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2008年07月02日

「エンロン巨大企業はいかに・・」

 電気事業(電力業界)で特に規制緩和や海外調査に携わったことがある人なら「エンロン」を知らない人はいません。吉田康人は電力会社に約10年間勤務していましたが、後半は主に海外における電気事業の調査を担当していました。具体的には「横文字を縦文字になおす仕事」です。

 意味わかります?(笑)。海外の文献や紙誌(英語で書かれているため「横文字」)の内容を日本語(伝統的には「縦書き」)でまとめて論文や専門誌の記事にしたり会社の重役へ情報提供したりしていたのです。こうした仕事を冗談半分で「横文字を縦文字・・」と表現していました。今から10年以上前のことになりますが当時、「Enron」という5文字を見ない日はありませんでした。文字どおり、世界のエネルギー市場へ殴り込みをかけてきた企業でした。

 前置きが長くなりましたが、先々週だったか?、その前の週だったか?、米国映画「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?」(2005年。アレックス・ギブニー監督)をレンタルで見ました。全世界へ衝撃を与えた巨大エネルギー企業「エンロン」の企業スキャンダルの真相に迫るドキュメンタリーです。規制緩和の波に乗り急成長し遂には全米第7位の巨大企業となったエンロンは、1つの不正疑惑報道をきっかけにわずか1月半で破綻に追い込まれることになります。同社の急成長の裏で繰り広げられた「モラルなき暴走」を様々な証言や内部資料によりあぶりだしていきます。

 「私はたった一人でエンロンの不正を叫んでいるようでした」と述懐するエンロン事件の内部告発者、シェロン副社長(女性)は映画の中で次のように語っています。<<エンロンは例外的な事件ではありません。自らの行動を正当化し続ける限りどの会社でも起こり得ることです。会計事務所も弁護士事務所も銀行も目をつぶり責任を全うしようとしなかった。みんなが「一体」でした。再び起きるでしょう>>。

 ここで一言申し上げておかなければなりません。エンロンは財務の粉飾などを通じて「架空の利益」で「架空の人気」をつくりあげ資金をどんどん集めていきます。しかし、それが「架空」であることが周知の事実となるや一気に破綻してしまったのです。

 高槻市を初め全国の自治体にも同じような体質のところがたくさんあると感じています。専門家からもジャーナリストからも、そして当然、市民からもその行政が大して評価されているわけでもないのに、多くの市役所職員や政治家が、さらには、各種団体でまちづくりに参画している人らまでもが「高槻はいい、高槻は良くなった」と「一体」となって言っているのを聞くとゾッとします。

 「どこの自治体と比べて、あるいは、何と比べて、どこが?、どう?、いいのか?」と聞いても、全然ないとは言いませんが(笑)、ほとんどまともな答えが返ってこない自治体は、高槻市のみならず、全国的にも相当あるはずです。まるで、「エンロンはいい、エンロンは伸びている」と投資家へ巧みにPRして巨額の投資を集めはしたものの、実際には中身がなく最終的には破綻したエンロンを見ているようです。

 自分の住んでいるまちを愛し、まちの将来に期待することは大切なことです。しかし、自治体行政に対する評価は、決して「粉飾」することなく「一体」となることもなく「勢い」や「思い」だけで切り抜けようともせず(笑)、多様で客観的で冷徹な「ものさし」で行われなければなりません。この映画を見てそんなことを改めて思いました。


Posted by 吉田 康人 at 23:51│Comments(0)
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